島本理生の「ナラタージュ」を読み終えました。
この小説を買ったのはだいぶ前。去年の冬ごろだったでしょうか。

なぜかなかなかページが進まず、最近になってぽつぽつ読んでいたのですが
半分あたりまで読んでいた今日、一気に読み終えてしまいました。


私はこの小説の主人公ほど深く誰かを愛したことはありません。
彼女の思いは結局届かず、深い悲しみを誘います。

私が失恋したのは去年の秋でした。
この小説を買ったのも、自らの傷を癒す足しにしようという魂胆がありました。


T君(現在の彼)と付き合うことになった時
心の中が妙に乱れて それまで平穏だった気持ちがかき乱されたような気がしました。

私にはたぶん いえ、確実に 前に付き合っていた彼を忘れられていなかった部分がありました。


人の前では「最低な男」「クソ以下」「うんこ」等 茶化して罵っているけど
やっぱり好きでした。

初めて心底好きになった男の人でした。


気持ちが乱れた理由はわかったようなわからないような感じで
実はうっすら気がついていたけど封印しておきたいような そんな感じで
あのときは絵を描いてスッキリしました。

そして、T君と付き合うことを現実として受け入れた。
その後も別に悲しかったり苦しかったりしたこともない。

でも「ナラタージュ」を読んで、やっぱりそうだったと思った。

未練ではない。(いや、それもどうかわからない)
痛くて、苦くて、鈍くて、鋭くて、突き刺さる。
忘れられなかった。

いや、忘れられない。


私が主人公と違うのは、忘れられなくても、確実に一歩ずつあの場所から
遠ざかっていっているということ。

彼を目の前にしたら私はどうなってしまうかわからないけど
封印していれば、気持ちはあの時から確実に離れていっている。


そのうちいい思い出になるでしょう。

読んでいて苦しい小説だったけど、すごく 面白かったです。
面白いと表現していいのかわからないけど…。

自分にちゃんと向き合えた気がします。

読書っていいな。