世界の果ての私の愛しい人

暖かかった日々に、心の中で別れを告げよう。

私を暖めてくれたものに。

世界の果てで虚無の瞳で海の向こうを見つめるあの兎に、感謝と別れを告げよう。

私は目を覚まし、現実の世界で白日の下、細った足で歩き出す。

そこからの景色は全くの未知で、私の敵であるか味方であるかわからない。

私は想像の中でいつも兎に会えるのだ。
だが私はもうその想像はしない。

兎は確実に心の中の果てにいて、そこで海を見つめ続けるけれど、私がそこに向き直ることはもうない。

その存在を認めながら、新たな世界で生きていく。