かぞくのくに

ずっと観たかった映画、「かぞくのくに」。行きつけの京都シネマで先月、再上映していたけど、最終日に行ってしまって立ち見だと言われ、諦めたのだった。
ようやくレンタルDVDが出たので、新作だけど借りてきた。

こんな情勢の中、チヂミを食べながら観た。(北でもチヂミを食べるかどうかは、知らないけど…)

北朝鮮に住む兄が、東京で在日朝鮮人として暮らす家族のもとへ25年ぶりに、3ヶ月だけ病気療養のために帰ってくる。
しかし、滞在数日で、突如すぐに帰国することを命じられてしまう。。

わたしは何も難しいことはわからなくて、ただただ感じるしかできなかった。
心からの喜びや怒りや悲しみを。

幸せになれると信じて、兄を北朝鮮へ送り出した家族たち。
後悔しているのに、立場上何も言えない父。そんな父を「絶対に許さない」と言う妹。
母は病気を代わってやりたいと言う。
そんな、家族…。


兄と妹が街で、あるスーツケースを見つけるシーンがある。兄はそれを妹に買ってやろうと、スーツケースの隣に妹を立たせながら「お前それ持って色んな国行けよ」と言う。
高額で結局それは買えないのだけど、すごく好きなシーンだ。

兄はひたすら寡黙だ。
ただ、妹と話をするときは、自分が選べなかった人生を生きてくれと言うように、言葉が増える。語られるのは託すための言葉だ。

「むこうにいると、考えなくなるんだ。ただ、従うだけ。
考えるとしたら、生き抜くことだけだ。

お前は、この国で、考えて生きろ。
考えて納得して、わがままに生きろ。」


結局病気の治療ははかどらないまま兄は帰国してしまった。
おそらく兄は、長くは生きられないのだろう。

遠く離れた家族、昔の恋人、同級生、
好きだった日本の歌、そんなものへの想いを押し込めて、ひたすら寡黙に、従って生きていくだけ。

家族は何もできない。
近くて遠い国、それをひしひしと感じた。

どうしたってどうにもならない時、日本にいる家族は感じることも考えることもやめずに、ひたすら生きていくしかない。
悲しすぎる話だけど、ラストはそれを感じさせてくれるものだった。

主演の井浦新安藤サクラ、どちらもすごく良かった。
黙っててもなんか伝わってくる顔してる(笑)

いっぱい泣いた。
泣いても泣き足りないし、考え足りない。感じて、泣いて、あぁ、わたしは生きるんだ!しっかりしろ!ちゃんと生きろ!
と思う。

涙活なんかより自分で選ぶほうがずっといいもんねーーー(まだ言ってる