三浦綾子「ひつじが丘」

知人に遠藤周作が好きだと話したら三浦綾子キリスト教信者なのだと教えてもらい、特に「ひつじが丘」がオススメだと話してもらったことがあったので、読んでみたらとても面白かった。

どうなるんだろう?と次々ページをめくったが、最後の最後で泣かされてしまった。

物語の序盤で、奈緒美の父が言った「愛することはゆるしつづけることだ」という言葉がすごく重い。
奈緒美をゆるし続ける父親も、またゆるされてきた存在だった。

今私はまた新たな苦境というか、変化の境地に立たされていて、彼氏に対しても周りの人に対しても、ゆるし続けられるだろうか、と問いかけながら読んだ。

元々心が清らかだとか、汚いとかは瑣末な問題で、いかに良くなろうとするか、もがくかということが大切なんだと思った。
心が清らかに見える人はただ、恵まれていただけ。

奈緒美の夫の良一のように、友人からも兄弟からもダメだと思われている人でも、良くなっていくことはできるんだと思わされた。

良くなるということは、この物語においては信仰するということでもあるけど。

とってもいい話だった。
キリストの絵、ありありと眼に浮かぶようだった。

他の三浦綾子作品も読んでみたい。